数学の話を少々・・・
自然数は1以上の整数であり、1から自然数nまでの和は
1+2+3+・・・+n = n(n+1)/2 ・・・(1)
で表される高校数学で習う。
これを∞まで足すとどうなるかを考えると、普通に考えると∞となるが、そうとは限らない。
(1)の式を∞まで足したものをSとする。
次に高校数学で習う等比級数の式として
Σ(n=0→k-1) r^n = (1-r^k)/(1-r)
というのがある(Σ(n=0→k-1は項(r^n)のnの値を1,2,3,・・k-1を代入した時の値の総和を意味し、Σ(n=0→k-1)r^nはr^0+r^1+r^2+・・・r^(k-1)を意味する)。
-1<r<1でkを∞にすると、r^k=r^∞は0に収束するので、
Σ(n=0→∞) r^n =1/(1-r) ・・・(2)
となる。
(2)をrで微分すると、
Σ(n=0→∞) nr^(n -1)= 1/(1-r)^2 ・・・(3)
(3)にr=-1を代入すると、
1-2+3-4+・・・=1/4
が得られる。それから
1-2+3-4+・・・-(2n) +・・・ =1/4 ・・・(4)
4+ 8+・・・+4n +・・・ =4S ・・・(5)
1+2+3+4+・・+2n +・・・ =S ・・・(6)
において、左辺を見ると(4)+(5)=(6)であるから、右辺も同様にすると、
1/4 + 4S = S
S=-1/12
となる。よって、∞までの自然数の和は-1/12になるという摩訶不思議なことが起こる。
が、これは正しくないのはすぐにわかる。
というのも(3)の式は-1<r<1の時に成り立つ式であって、r=-1のときでは成り立たない。
なので、やはり∞になるのかとおもいきや、そうとは限らない。
リーマンのゼータ関数というものがあり、
ζ(s) = Σ(n=1→∞) n^(-s) ・・・(7)
と書く。
sは複素数(実数+虚数)を表す。
数学のミレニアム問題のリーマン予想の式である。
リーマン予想はζ(s)=0となるのは、s=-偶数か、sの実部が1/2であるという予想。
これを証明したら100万ドルがもらえるというものである。
それはさておき、(7)にs=-1を代入すると、
ζ(-1)=Σ(n=1→∞)n
なので、これは∞までの自然数の和Sとなる。
で、このζ(-1)をいろいろな関係式を駆使すると、
ζ(-1)=-1/12
となり、上記の等比級数を利用して計算した値と同じになる。
じゃ、これも間違いかと言われるとそうではないらしく、自然界ではこの値が正しいようだ。
実際に弦理論とかにも使われているらしい。
常識では考えられない結果だなあと思う。
ちなみに
ζ(-2)=ζ(-1)=Σ(n=1→∞)n^2 = 1 + 4+ 9 +・・・
と自然数の2乗の和ですが、この値は0となる。