田中芳樹著「中国武将列伝」を読みました。
田中芳樹氏が中国歴代(春秋時代から清まで)の名将を100人(正確には99人)を選んだものです。
名将ということなので、皇帝になった人物やどちらかというと宰相であるような人物は除かれています。
劉秀とか諸葛孔明とかは除かれています。
孔明については演義しか読んでない人はとんでもない名将、天才軍師ですが、正史で評価したりしている人は軍事はあまり上手でなかったような評価をしています。
陳寿は三国志の評で臨機応変の軍略は得手でなかったとさえ書いているぐらいです。
ただ三国志研究第4号の最初の方に沈伯俊(四川省社会科学院教授)は、奇策には欠けるが一流の軍事専門家であるみたいなことを言っています。
まあ、司馬懿が孔明死後の陣を見て、天下の奇才なりというぐらいだから、その一言だけで一流の軍事専門家と言えるような気もします。
また、三国志の話になってしまいました。
ともかくこの中国武将列伝は時代に偏りすぎないように選んだそうです。
だから三国時代から3人(三国志に登場する人物としては約100年間で8人だから結構多い)くらいです。
三国時代までの間の30人くらいはほとんど知っていますが、その後のやつは結構知らない人物が多くて非常に面白かった。
そもそも小説家されているのは三国時代までは結構ありますが、それ以降はあんまりないような気がする(私が知らないだけのような気もしますが)のでしょうがないと思います。
その100人の中でもよかったのが「王玄策」です。
王玄策は中国で活躍した人ではなく、インドで活躍した人です。
王玄策は唐の使者としてインドのなんとかという国に行ったのですが時の王がすでに死んでいて王位を簒奪されていて、さらにそいつに捕まる。
それをどうにかして脱出して、ネパールの国に向かい王に兵を借りてとって返して戦い簒奪者を捕虜としインドの国を安定に導いた。
さらにネパールの兵を返して、捕虜となっていた部下を救い出してそのまま帰国したとか。
ここまでやったらインド(というよりインドのどっかの国か)を植民地みたいに占領したり、それよりむしろ独立だってできたであろうに、使命を果たしたからもうようはないということで帰っていたという感じでしょうか、素晴らしい。
この王玄策を主人公とした小説を田中芳樹氏が書いているようです(天竺熱風録)。
そのほかにも宗の時代の名将狄青とか中国版大岡越前の包拯とか、中国最大の英雄岳飛とかいろいろと興味がつかない。
ちょびっと視野が広がった感じがします。
これを機にいろいろな時代のものを読もうかと思いました。
いつかは中国語を読めるようになって中国の小説を読んでみたいものです。
とりあえず読もうかと思っている本を備忘録代わりに書いときます。
田中芳樹:
隋唐演義
岳飛伝
天竺熱風録
海嘯
など
井上靖:
異域の人
敦煌
井上裕美子:
桃花源奇譚(包拯の話、AmazonでGET済み全4巻)
狄青に関する短編小説(なんて小説か不明)
万花楼演義?(訳が出される予定とあったが出ていない模様・・・)
狩野あざみ:
隋唐陽炎賦(売ってない・・・)
その他:
三俠五義(これも包拯の話、中古で売ってたけどちょっと高め・・・。他に日本人が中国版大岡越前っていう感じの本を2006年に出していたのがあった)
中国が海を支配したとき(鄭和の話で、イギリスかどっかの人が書いた本を訳したものだけどやはり単行本のためかちょっと高い)